「景観形成重点地区」に指定

2021/05/27

市役所前さくら通り=市提供

 市は14日、市道市役所前通の一部など、約1・5Kmにわたる「市役所前さくら通り地区」を、市内初となる「景観形成重点地区」に指定した。今後、広い幅員や桜並木などの特性を生かし、より市民がくつろぎやすく、市外からも訪れたくなるような景観づくりに努めていく。

 「景観形成重点地区」は、景観法に基づいて市が2010年に定めた「相模原市景観計画」の中で、積極的に景観形成を図る必要があると位置づけられた地区。同計画では市全域が景観計画区域とされ、その中で今回指定された市役所前さくら通り地区は、橋本駅周辺や小原宿本陣、相模原駅周辺、相模大野駅周辺などとともに重点地区の候補として挙げられていた。市民桜まつりで市内全域から人が集まることや、17年に市が実施した景観に関する市民アンケートで「お気に入りの景観」としての回答が多かったことなどから、同地区が市内初の重点地区として選ばれた。

 指定の区間は市道市役所前通のうち、国道16号を除く横浜線踏切から横山二丁目交差点までの区間、および当該道路に接する土地。戦前の軍都計画で区画整理された幅員40mの広い道路は、春に沿道の約300本の桜が咲き誇り「さくら通り」の愛称で親しまれている。この桜並木は重点地区に先立ち12年に「景観重要樹木」に、さくら通りは17年に「景観重要公共施設」に指定されている。

 市は景観形成にこれらの特性を生かす考え。同地区の景観計画の方針に、「集い、くつろぎ、訪れたくなる、さくら並木の景観を育てる」を掲げ、「市を代表する景観の一つである桜並木と沿道の建築物などがつくる景観を大切に育み、市民が集いくつろぐとともに、市外からも訪れたくなる景観づくりに取り組む」としている。

独自の基準を設定

 景観計画区域(市全域)では一定規模以上の建築などを行う際に事前協議と行為の届け出が必要とされているが、重点地区では建築物などの形態やデザインなど、さらにきめ細かな基準が追加される。そのため今後、地区内で行われる新築や増改築、移転、屋外広告物の表示や設置などには、高さや色彩など市が定めた独自の景観形成基準などを満たすことが必要となる。市によると基準は「歩行者の目線を意識して設定」されたもので、地区全体のまとまりや通りからの見え方への配慮、にぎわいづくりなどをポイントに挙げる。

 県内では横浜市が「景観推進地区」の名称で関内地区やみなとみらい21新港地区などを、川崎市が「景観計画特定地区」として新百合丘駅周辺地区や川崎駅周辺地区などを同様に指定している例がある。

地域と協議重ね

 指定をめぐり、市は18年から地域住民や自治会、商店街、ボランティア団体らによる協議会を発足して話し合いを重ねてきたほか、土地や建物の所有者へのアンケート調査やパブリックコメントなどを実施した。市は、「市内外から人が集い、くつろぐ景観づくりの基準が設けられている。地区の方針に少しでも近づいてほしい。市全域における景観意識の向上にもつながっていけば」と期待を寄せる。

 指定の効力発生は来年1月1日。市は土地・建物保有者や市民に向け、ホームページや広報などで周知を進める方針。