民間会社と電力供給協定

2021/08/19

協定書を手にする谷口自治会長(左から3番目)と山川代表(同2番目)=さがみこファーム

 緑区の青野原前戸地区自治会(谷口富士雄会長)は7月17日、同地区でソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の観光農園事業を行う民間会社から災害時に電力供給を受ける協定を結んだ。これにより、前戸地区で停電が発生した場合、同民間会社から電力供給を受けたポータブル蓄電池により自治会員(約110世帯)分の携帯電話などへの充電が可能となる。

 尊い8人の命が奪われるなど、相模原市、特に津久井地域に甚大な被害をもたらした一昨年の台風19号。青野原前戸地区も例外ではなく、前戸自治会館の裏側で土砂災害が発生する被害があった。こうした事態を受け、同会では災害などで送配電網が損傷し、地域に停電が発生した場合の電力供給手段を模索していた。そうした中、同地区で来年から太陽光発電を活用した観光農園を開園するさがみこファーム(山川勇一郎社長)との間で、電力供給に関する話が浮上。話し合いの結果、協定に至った。

 協定では、災害時に同地区で停電が発生した場合、同社の敷地内にあり多摩市の山川社長が代表を務める別会社が所有するパワーコンディショナー(直流電流を家庭用に変換した機器)から、持ち運びが可能なポータブル蓄電池に充電。それを自治会館などに設置し、住民らがコンセントを繋ぎ、携帯電話などへの充電や炊き出し時の電化製品の電力として活用する想定だ。これらは自立運転モードに切り替えた場合、晴天時最大 10・5kWの出力が可能。この電力量は、携帯電話の充電であれば全自治会員約110世帯分の電力がまかなえ、天候が良ければ当面不足する心配がないという。

 谷口会長は、「この度は災害時における電源供給の提案に理解協力を賜り感謝している。災害時の不安が少しでも取り除かれる」と謝辞を述べた。山川社長は、「当社の太陽光発電所の電気をお世話になっている前戸地区の自治会に提供できることをうれしく思う。前戸地区に住む会員の皆様にとっての災害時の安心・安全に少しでもつながれば」と話した。

 前戸地区自治会とさがみこファームなどは、今後年1回ほど機器操作に関する研修を合同で行い、地域での「共助」を促進していく予定だ。