相模原市内の地価公示 住宅地、経済回復に期待感 藤原不動産鑑定 藤原新一氏

2021/11/11

 相模原市内の住宅地については、緊急事態宣言下の期間が長かったものの、ワクチン接種の状況などを含む、経済活動回復の期待感も含め、継続51地点中、上昇が20地点、横ばいが16地点、下落が15地点となり、市全体の平均変動率(2020年7月1日〜21年7月1日)は+0・3%(前年▲0・1%)と上昇に転じた。

 緑区は全体で+0・2%(前年▲0・2%)と上昇した。橋本駅周辺では、もともとターミナル駅としての利便性や商業施設の充実度から需要が根強い中、リニア中央新幹線新駅設置などによる発展的期待感・認知度の向上により、地価は上昇にあった。

 しかし、昨年のコロナショックでは、緑区の多くの地点で下落となり一服感が出たが、(特に橋本地区を中心とする)堅調需要が回復し、コロナショック以前ほどではないが、地価は上がっている。

 一方、人口減少が続く旧津久井郡では、需要が限定的であり、基本的にコロナ禍による影響は小さい傾向にあった。しかし、市内で最も下落率が高いのは▲3・3%の牧野にある地点となり、地価の二極化が鮮明となった。

 将来の動向としては、コロナ禍の見通しが不透明であり、今後、地価動向にどれほどの影響を与えるかは未知数であるが、基本的にはネガティブインパクトになるだろう。そうした中、不動産の選別が厳しくなり、二極化が加速するものと思料される。

 一方で、橋本駅周辺の発展的期待感の持続、および南区相模大野の伊勢丹跡地利用の決定(45階高層ビルおよび商業施設)などポジティブな要素もあり、今後の地価動向が注目される。