谷口台小 児童発案で打ち上げ花火 行政、地域、企業が協力

2022/03/31

谷口台小学校校庭で花火が打ち上げられた=3月23日

 市立谷口台小学校5年2組の児童が中心となり企画を進めてきた花火の打ち上げが23日、同校校庭で行われた。コロナ禍であることを考慮して市民には非公開での実施となったが、夜空に大輪の花が開くたびに児童からは大きな拍手が起こっていた。

 谷口台小学校5学年では、総合的な学習の時間に「相模原市民のシビックプライドをあげる」ことをテーマに、各学級ができることを模索してきた。その中で5年2組は、一度に多くの市民に目に留まり、同じ空間を共有でき、幅広い地域に効果を伝播する「花火の打ち上げ」を企画した。

 どうしたら打ち上げられるかを考え続けた一年間。小学生が花火をあげることは想像以上にハードルが高く、児童は途中で何度も挫折を経験した。それでも諦めることなく、市の担当各課や相模原納涼花火大会実行委員会、相模煙火店を招いて話を聞き、さらに大野南地区自治会連合会にも協力を呼び掛けながら企画を進行。そこでの助言をもとに、クラスとしてではなく地域を巻き込んで実行委員会を組織したり、協賛を募るための手紙を書いたりと、実現に向けて邁進してきた。

 そうした努力の結果、迎えることができた打ち上げの日。相模煙火店の出頭晴美さんから花火の仕組みについて説明を受けた後、午後7時に最初の花火が夜空に舞い上がった。最初はゆっくりだったが、徐々にペースが上がり、終盤は数発同時に打ち上げられていった。約3分半、65発の花火がすべて打ち上げられると児童から自然と拍手が沸き上がった。

 今回の実行委員長の佐藤奏仁さんは「短時間だったけど、1年間の学習が全て詰まっていた。シビックプライドを高めることを最終目的としていたが、花火をきっかけに変わってくれることを願っている」と話し、中山主税さんも「思ったより大きな花火で、皆さんに共感してもらえたかな。1年の集大成として目標が達成でき、新たな1ページを開けたと思う」と笑顔を見せた。野々村芽咲さんは「1年かけて企画したが、まさか本当に上げることができるなんて信じられず自分でもびっくり。地域の人たちと仲良くなれるきっかけになれば」と振り返った。

 担任の岡崎真咲教諭は「諦めずに夢を実現させた。一人じゃなく全員の力。花火を見た時に、美しさ、素晴らしさ、力強さが5年2組の力と同じように感じられた」と感慨深げに話していた。事業の様子は市HPなどで後日発信される予定だ。