消費生活センター 「成年」若者に注意喚起 狙ったトラブル増

2022/04/14

市消費生活総合センターの篠田直人さん

 法律が改正され4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられた。18歳から保護者の同意なくクレジットカードを作ったりローンが組める一方、近年若者を狙った消費者トラブルが増えており、市消費生活総合センターでは「安易に契約をせず、落ち着いて考えてから判断してほしい」と注意を呼びかけている。

 日本の成年年齢は1876(明治9)年以来20歳とされてきたが、近年、公職選挙法の選挙権年齢や憲法改正国民投票の投票権年齢を18歳と定めるなど、18・19歳にも国政の重要な判断に参加してもらうための議論が進められてきた。そうした流れの中、世界的にも成年年齢18歳が主流となっている背景もあり、今回民法でも、18歳以上を大人として扱うのが適当と判断された。

ローン組める一方未成年者取消権消滅

 成年年齢の引き下げにより、18・19歳は、親の同意を得なくてもさまざまな契約をすることができるようになる。例えば、「携帯電話を購入する」「一人暮らしのためのアパートを借りる」「クレジットカードを作成する」「ローンを組んで自動車を購入する」といったことが可能になる。

 一方で今まで未成年ということで保護されていた「未成年者取消権」(保護者の同意がない契約を無条件で取り消せる権利)が行使できなくなる。

成人直後に相談増加

 市消費生活総合センターによると、年齢で比較して、近年成人になったばかりの若者を狙った消費者トラブルが多いという。2020年度のデータでは、19歳の市内の相談件数が41件だったのに対し、成人直後の20歳は約1・8倍の74件が寄せられている。

SNSきっかけ金融&美容の相談増

 特に多いのは「お金」と「美容」に関する相談だ。

 例を挙げると、

♦「株取引で儲かる」という情報商材を20万円でカード決済したが、高額で支払えないので解約したい(10代男性)。

♦学生ローンで借金をして暗号資産の投資契約をしたが、説明と違い全く配当がない(20代女性)。

♦「10万円の全身脱毛」のSNS広告を見てクリニックに行ったところ「広告の施術は効果が低い。本来70万円のコースを60万円にする」と勧められ契約。後悔しクーリング・オフを申し出たが応じてもらえない(20代男性)。

♦「二重まぶたの手術が1日で可能。手術当日に化粧できる」というSNS広告を見てカウンセリングを申し込んだところ、カウンセラーから「50万円の手術は腫れない。一緒に脂肪吸引もやるとよい」と勧められ計90万円で契約。当日そのまま手術を受けたが、1週間経っても腫れが引かず、リスクの説明も無かった(20代女性)。

 例にもあるようにSNSをきっかけとしたトラブルが多いのも特徴だ。

 同センターでは、「今年6月1日から改正特定商取引法により通販業者は注文時に内容を確認する際の表示をより明確化しなければならなくなるため、改正前に紛らわしい甘い勧誘をより仕掛けてくる可能性もあるので、特に新たに成人年齢になった方は注意してほしい」と指摘する。

 また、「被害に遭っても泣き寝入りしてしまうケースも多い。すぐにあきらめないで、一度相談してみてほしい」と呼びかけている。

♢消費生活総合センター/【電話】042・775・1779(イオン橋本店6階)

 なお、同センターとさがまち学生Clubによる「消費者トラブルについて」の動画が、4月15日(金)から相模原チャンネルで公開される予定となっている。