相模川第一漁協 川守る 投石で再整備 護岸工事 アユに影響

2022/06/09

解禁日6月1日の高田橋付近の相模川=同組合提供

1日解禁

 アユ釣りが6月1日に解禁となり、今年も相模川には多くの釣り人が訪れている。今年は天然アユの遡上が多く、大きさも「例年以上」という。川を眺め、そのにぎわいにほっとした表情を浮かべる男性がいる。相模川第一漁業協同組合(水郷田名)の我妻竜雄代表だ。

 「工事が入り、川の環境が変わってしまった」

 我妻代表によると、2019年にあった台風19号の影響で川が壊れ、形が変わり、それを直すために翌年、神奈川県による護岸工事が行われた。ただ、安全面を優先した工事によって組合が管理する高田橋付近の川は浅くなり、川底は石でなく砂利に。アユが好む、アカが付着する大きな石は、砂利のさらに下に埋められてしまったそう。

 「相模川はアユが釣れる川でないと」。実はこの高田橋付近は全国でも有数の釣りスポットという。河川敷が大変広く、車で川の近くまで行ける。近隣にはトイレもあり漁協組合も存在する。「釣具メーカー3社がそれぞれここで大会を開く。そのような場所は他にはない」と我妻代表は話す。大会の開催は相模川のPRにもつながる。もしアユが釣れなくなり、大会が開かれなくなったら相模川にとっては大きなマイナスだ。

「釣れない」危機感

 危機感を抱いた組合は昨年末、投石工事を実施した。地元業者の協力を仰ぎ、合計およそ1500トン分の石を高田橋付近の川に置いた。「ここでアユに止まってもらわないと」。組合員らが交代で重機を動かすなどし、およそ1カ月かけて川を再整備した。

 解禁日当日は例年通り、100人ほどの釣り人でにぎわった。ここ2年はコロナ禍で減っていたが、その数は過去の水準に戻りつつある。我妻代表によると今年は天然アユの遡上がとても多く「昨年の4倍くらい。1500万匹ほど上がるのでは」という。遡上数は5年周期で増減するそうで、今年は「増」の年にあたる。「これからもずっとこの川で、たくさんの人に釣りを楽しんでもらいたい」。我妻代表はそう期待する。