藤野観光協会 着実に成果 移住定住事業 10年目迎え「より新しい風を」

2022/06/09

藤野のシンボル「緑のラブレター」

 一般社団法人藤野観光協会(名久井孝昭代表理事)は、2013年から藤野地区への移住・定住促進の取り組みを始めて、今年で10年の節目を迎えた。昨年は30世帯が移住し、徐々に成果が見え始める。取り組みと今後の展望について同会に聞いた。

 藤野地区の人口は8341人(22年1月時点)。00年と比べ3052人減少している。そして人口減少に伴い空き家が増え続けているのが現状だ。

 人口減少を食い止めようと、同会は13年から「観光」を地域おこしに繋げられないかと、地域の活動団体と意見交換を始めた。その結果、「藤野が好き、藤野で何か面白いことをやってみたいという人に住んでもらい、その人たちこそが藤野を元気にしてくれる」と、移住促進を進めてきた。15年に始めたのが「藤野里山体験ツアー」。ありのままの藤野を楽しんで、知ってもらうというコンセプトの下、里山散策や暮らしを体験してもらうイベントで、現在では参加者が年間500人を超える。

 16年からは、「里まちの家」推進プロジェクトを実施。藤野地区に点在している空き家の中で、国交省が掲げる良質住宅の基準を満たしている家などを「里まちの家」としてブランド化。さらに、移住・定住希望者と資産活用希望者との総合マッチングを目的とした専用ホームページ「里まっち」を開設した。現在では、市中央区・南区から緑区へ、市外から中央区・南区へと移住・住み替えを促進する「移住・住み替えサポート住宅推進プロジェクト」にも取り組む。藤野地区だけでなく相模原市全体での移住推進事業にも取り組んでいる。

コロナで伝わった藤野の魅力

 これらの移住定住促進事業は、着実に成果に繋がっている。ここ6年間の実績は、問い合わせ件数が年間100件程度、そのうち6割が相談に訪れ、毎年10〜15世帯が移住している。さらに、昨年の問い合わせ件数は150件に。移住した世帯も30世帯あった。「新型コロナウイルスの影響で新しい働き方が広まり、都心に近く自然も多い環境に惹かれた人が多いのでは」と同会は話す。

 今後は、より移住世帯を増やすことと事業の継続を目的に、「里まちの家」推進プランや「マイホーム借り上げ制度」の周知などをさらに進めていく。移住体験ツアーの開催も予定する。

 同会は「藤野へ移住してきた人の中には、農業を始めるなど新しい取り組みをしている人も多い。そういう方を増やし、藤野に新しい風を吹き込んでいければ」と話す。さらに「都心にアクセスしやすく自然も多いという、この地の魅力を市外の人に知ってもらい『相模原市に住んでみたい』と思ってもらえるようにしていきたい」と話している。