相模原市当初予算案 過去最大3,286億円 少子化・雇用・山間地対策へ

2023/02/23

 相模原市は2月10日、2023年度当初予算案を発表した。一般会計は、市民税や固定資産税などの市税が大幅な増収となったことなどを受け、前年度から174億円増(5・6%増)の3286億円で、2年続けて過去最大の予算規模となった。新型コロナウイルス感染症対策に引き続き取り組むとともに、主要施策の子育て、教育、まちづくりに関する経費のほか、重点テーマに掲げる少子化対策、雇用促進対策、中山間地域対策を中心とした新たな取り組みなどに係る予算を計上した。

市税が増収

 市の年間収入を示す歳入は全体の40・9%を構成する市税収入が前年度から36億円増えて1343億円。景気の持ち直しなどによる市民税・法人税増や、中央区・南区などに新築の建物が増えたことによる固定資産税の増収などを見込む。自治体の貯金にあたる財政調整基金は約61億円を取り崩し。年度末残高は約145億円となる見込み。

 歳出では、扶助費、人件費、公債費の義務的経費が前年度比0・8%増の約2035億円で全体の61・9%を占める。高齢者や児童、障害者、生活保護者らを支援する扶助費が約28億円(前年度比2・9%増)増加し約1018億円に。公共施設の整備などに要する投資的経費は前年度から21・9%増え、約184億円となった。

 一般会計を人口で割った市民1人あたりの予算額は約45万円。福祉・子育て支援などの民生費が約19万円、教育費が約7万円、保健・ごみ処理などの衛生費が約4万円。

重点テーマを推進

 市長選挙を控えた年は経常的な経費などを中心に編成する骨格予算とし、改選後に補正で肉付けすることが多いが、今回は通常予算として主要施策に経費を計上した。市総合計画で定めた市の将来像実現に向け、重点テーマである「少子化」「雇用促進」「中山間地域」を分野横断的に推進する予算を組んだ。

 少子化対策では、子どもの居場所づくりの観点から相模原北公園や淵野辺公園、相模大野中央公園の改修・更新を行い子育て環境の拡充を図るほか、移動式子どもの遊び場の開催回数を増加。また、仕事と子育ての両立に向けて「子育てサポート企業」として国が認める「くるみん認定」取得を目指す企業への補助や支援などを行う。多様な保育ニーズに対応するため休日でも利用可能な一時保育施設設置に向けた準備も始める。

 雇用促進対策では、若者の市内定着を促進するため学生インターンシップの推進や市内企業の採用活動の支援などを行うほか、イノベーション創出拠点の整備・運営の支援や事業共創プログラムの実施、事業者のDX化・デジタル化促進に向けた経営者や社員を対象とした人材育成講座などを行う。

 中山間地域対策としては、公共交通機関が少ない津久井地域で福祉有償運送を行う団体の運営支援などにより高齢者や障害者の移動手段の確保・充実を図るほか、グリーンスローモビリティの実証運行も実施する。また、緑区小渕にある「森のイノベーションラボFUJINO」を交流拠点とした中山間地域でのビジネスやプロジェクトの支援などを進める。

 新型コロナ感染症対策関連には約30億6000万円をあて、引き続き医療提供体制の確保、相談センターの運営などに努める。そのほか、公共施設の長寿命化に向けアートラボはしもとの再整備に約5億円、津久井消防署の整備に約9億4000万円などを盛った。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの推進、橋本・相模原駅周辺地区の都市基盤整備、麻溝台・新磯野第一整備地区の土地区画整理事業による市街地整備、防災力向上などにも取り組む構え。