青葉まちづくり協議会 国交省から表彰 市街化区域編入などで評価

2023/06/22

市街化区域編入後、新たな宅地開発が進む現場を案内する板垣委員長

 青葉まちづくり協議会(青葉)がこのほど、国土交通省の「2023年度まちづくりアワード」(功労部門)を受賞した。市街化調整区域の住宅地で住民主体の地区計画策定や地権者の合意形成を図るなど、市街化区域編入と地区計画の実現によって住環境の保全に貢献したことが評価された。

 「気持ちは複雑。良かったという思いが6割、申し訳ないという思いが3割、モヤモヤした思いが1割。まちは様変わりするだろうが、これからの世代の人に対してしっかりしたまちづくりを行っていきたい」。そう話すのは同協議会の板垣保宏委員長。

当初は反対多く

 同協議会がまちづくりを進めてきたのは、中央区青葉2丁目・3丁目の約19・3ヘクタールの区域。この地区では市街化調整区域から市街化区域への編入が半世紀にもわたって議論され、1970(昭和45)年と1988(昭和63)年に市街化区域への編入の取り組みが具体的に動いたが、実現には至らなかった経緯がある。

 板垣委員長は「住民にとってそのままで不自由はなく、税金も上がる。当初は反対する人も多かった」と振り返る。

資材置き場が点在

 市街化調整区域の場合、都市計画税が課せられず、固定資産税も比較的低く設定されるため、住民の経済的負担が抑えられるメリットがある。また農地保全のため、静かな住環境が得られる面もある。一方で土地利用や建物の建築が制限され、住環境の整備や商業施設の誘致が進まないため、土地を売却しづらく、相続の面でのデメリットもある。

 青葉地区では住宅地と農地が混在する中、空いた土地に建設業者の資材置き場や作業場が数多く設置されたという。また近隣の飲食店や商業施設が相次いで撤退。近年では住民の高齢化が進み、「買い物難民」の状態になっていたという。

9割が賛同へ

 こうした事態を解決しようと、地元・青葉2丁目と3丁目の自治会のメンバーらが中心となって2015(平成27)年に「青葉まちづくり協議会」を発足。行政の支援を受けながら、勉強会や説明会を積み重ねて住民の合意形成を図ってきた。2020(令和2)年に実施した住民アンケートでは市街化区域への編入について、87・9%の人から賛同が得られた。

新たな整備始まる

 2022年12月には市街化区域編入が都市計画決定され、まちづくりのルールを決める「青葉地区地区計画」も同時に決定された。早速、資材置き場の跡地などに新たな宅地開発が進み、現時点で27戸の戸建て住宅と2棟21世帯の集合住宅、老人ホーム1施設の整備計画があるという。

 板垣委員長は「10年、20年先のまちづくりを考えると、まちとして機能せることが重要。住民の皆さんから感謝の言葉をかけられるとうれしくなる。皆さんの協力に感謝したい」と話している。

 まちづくりアワード(功労部門)は、魅力あるまちづくりに功績のあった個人または団体に対して国交省が表彰する制度。今年度は全国から21団体が選ばれ、相模原市では同協議会のみ。相模原市内ではこれまで12団体が受賞し、同協議会は13団体目。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社