相模原市 DX化へ3方針を表明 相談役に陳内氏

2023/07/27

本村市長から委嘱状を受け取る陳内氏(右)

 相模原市は7月18日、デジタル技術の導入による業務の効率向上を目指し、DX化のさらなる推進に向けた方針「もっとチャレンジ!さがみはら〜DXチャレンジ〜」を表明した。市はデジタル分野で活躍する陳内裕樹氏をアドバイザーとして迎え、「DXに関する条例の制定などに取り組む」としている。

 DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル技術の活用により業務などを変革することを指し、近年さまざまな業種で推し進められている。

 市役所で行われた表明式には、本村賢太郎市長が登壇。▽市役所での手続きにデジタルを取り入れる「行かない市役所」化▽デジタル技術を生かした「さがみはらファン」の増加▽市役所業務や職員の働き方改革――といった項目を示す取り組み方針を明らかにした。本村市長は6月に公表した「令和5年度市長所信表明」内でも、DXの推進に関する条例の制定に向け取り組んでいくと言及。「このチャレンジに取り組むことで、すべての人が幸せを感じられ、持続可能で、あたたかい未来都市『さがみはら』を目指す」とコメントした。

 市はDX化に関する政策について支援してもらおうと、東北芸術工科大学客員教授で内閣府クールジャパンプロデューサーの陳内裕樹氏にフェロー(特別研究員)を委嘱。陳内氏は市に対し、DXやデジタルに関する助言や提言を行う。

 また同日、市職員を対象としたDX化に関する研修を産業会館で実施。陳内氏が講師を務め、デジタルを活用することの重要性などを説明した。

 市DX推進課の担当者は「今は方針を打ち出した段階で、これから具体的な策を練っていく」とし、「DX化で効率を上げる分、市民ともっと対話ができる市役所にしていきたい」と述べた。

課題は個人情報

 市は現在、市役所での申請や職員の業務にデジタルを取り入れて効率化を図っている。例えば、転入の際に必要な各種申請書をパソコンやスマートフォンから作成・印刷することができるシステム「申請サポートプラス」を今年3月から導入。また、対話型の人工知能「チャットGPT」の業務への活用や、一般ごみを収集する際のICTの利用などに関する実証実験を行うなど、業務改革に向けさまざまな検証を進めている。

 同課では「蓄積したデータから学習させられることがAIの強みだが、市役所では特に個人情報の流出に細心の注意を払う必要がある。情報が流出してしまう危険性を考慮すると、何でもデジタル化というわけにはいかない」とし、「他自治体の状況も見ながら、DX化に適する分野を見極めていく」と話した。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社