「ズームイン田名」って? 22年にわたった連載

2023/08/24

ズームイン田名が連載されていた館報=「田名のくらし」より

 かつて日本テレビで放送されていた朝のニュース番組名にちなんで付けられたユニークな題目で、田名地域の歴史を紹介する連載が田名公民館の館報で続いていた。その「ズームイン田名」は現在、冊子になり地域の記録として保存されている。「懐かしいね。子どもの頃を思いだすよ。みんな忘れていってしまうから、こうやってとっておかないとね」と公民館の館長、大谷政道さん(75)はそう話す。

暮らし、文化残す

 田名地域は相模川を中心におよそ1700年前に開拓されたと言われている。歴史が長いことから地域に独特の文化が根付いていた。ただ、高度経済成長期にかけて人口の増加や開発があったことで、守ってきたそれらが次第に消えてしまいそうになっていった。そのような中、1996年(平成8)、歴史のある地域の暮らしや文化を残していこうと「ズームイン田名」、そして「村の歳時記」という連載が始まった。いずれも地域住民や公民館の職員が編集を担当。「生活を支えた『滝の渡し』」「相模川のう飼い」「塩田にあった異人館」などといったタイトルで、地域「独特」の内容などを2カ月に1回のペースで掲載。ズームイン田名は2018年まで途切れたことはあったが、合計22年間にわたり75回の掲載を数えた。

まとめて冊子に

 一方、連載は回を重ねるごとに周囲から「冊子にしてほしい」という要望が高まりをみせ、06年、公民館はズームイン田名の1回から52回、村の歳時記の1回から27回をまとめた「田名のくらし・四季『館報わかあゆ』から」を発行した。「昔からの言い伝えや長い間、連綿と引き継がれてきた慣習、今ではすでに見ることができない伝統行事などを丁寧に掘り起こしながら、懐かしい思い出とともに綴ったもの」(あとがきより)。発行には積みかねてきた歴史や文化を「正しく次の世代に申し送りたい」という思いが込められている。

図書館で貸し出し 

 この「田名のくらし・四季」は田名公民館内の図書室で借りることができる。公民館のホームページでも一部の連載を見ることができる。「この機会に改めて田名の歴史を知ってもらいたいですね」と大谷さんは呼びかけた。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社