相模大野駅 6年ぶり帰宅困難者訓練 誘導の流れを確認

2023/09/07

相模大野駅から同公園まで誘導される参加者

 相模原市は9月1日、帰宅困難者対応訓練を相模大野駅で実施した。同駅で実施するのは6年ぶり。交通機関の運行が停止したと想定し、駅の滞留者を一時滞在施設へ誘導する流れを確認した。訓練では、ルートの通路の狭さなどの課題も浮かび上がった。

 参加したのは、市職員のほか、相模女子大学の学生、小田急電鉄(株)相模大野駅の駅員など101人。訓練は9月1日、午前10時に震度6強の地震が発生したと想定。相模大野駅に取り残された帰宅困難者役60人を一時避難場所である相模大野中央公園、一時滞在施設である相模女子大学グリーンホールまで誘導した。

 市職員は「鉄道が止まるとホームから出た行き場のない人、運行情報を得ようとする人が駅にあふれる。人をとどまらせないことが重要」と話す。市職員は、駅からほぼ一直線のルートで相模大野中央公園に参加者を誘導した。

 同公園は、発災時に交通の運行状況を発信する情報所としての機能を持つ。訓練では、小田急線、JR横浜線などの鉄道やバスの運行、幹線道路の通行状況を掲示。徒歩で帰宅できる人とできない人を振り分けた。今回は参加者全員を帰宅困難者とし、さらに相模女子大学グリーンホールまで誘導した。

 通学で電車を利用しているという渡邊栞女さん(相模女子大学3年)は「何かあった時のために体験をしておきたい」と訓練に参加したという。「中央公園でこうした情報提供があるのは知らなかった。ネットより市からの正確な情報の方が安心できる」と話した。

 今回の訓練を受け、市交通政策課の職員は「公園までの通路が狭く、どうしても滞留してしまうことがあった。誘導経路を増やす、さばくための人員を増やすなど検討する必要がある」と振り返った。

推計3600人

 帰宅困難者とは、大地震発生時、一定距離があるため徒歩での帰宅が困難な人を指す。東日本大震災の発生直後、相模大野駅では500人の帰宅困難者が発生。また、市の推計では、同駅を中心とする半径1キロメートル圏内で3631人の帰宅困難者が発生する。

 相模大野駅の一時滞在施設として、同所のほか、相模原中等教育学校と神奈川総合産業高校が指定されている。

補給廠に岸田首相らも

 相模総合補給廠一部返還地で同日、『第44回九都県市合同防災訓練』が開かれた。今年は相模原市が幹事都市で、関東大震災から100年の節目とあって例年よりも大規模な訓練となり、岸田文雄首相や関係閣僚らが視察に駆け付けた。

 訓練には消防や警察、自衛隊のほか、地元の企業や自治会など140超の機関・団体が参加。相模原市直下を震源とするマグニチュード7クラスの地震が発生し、市内で最大震度6強を観測したという想定のもと、崖崩れや建物倒壊、火災などの現場を見立てた構造物を使って本番さながらの救助訓練を行った。

 閉会式であいさつに立った本村賢太郎市長は「関東大震災から100年の節目を迎え、改めて安心で安全なまちづくりを目指す決意をした。自助・共助・公助の取組を進める中、市民の皆さんには自助の部分で力添えをいただきたい」などと話した。岸田首相は「首都直下地震を始めとする大規模災害のリスクに直面する現代の私たちは、関東大震災の記憶を風化させることなく、デジタル技術も活用しながら、創意工夫を凝らして災害に強い国づくりに取り組んでいかなければなりません」などと話した。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社