相模原市 公営霊園に無縁墓20件 年々増加、対応に苦慮

2023/09/21

市が掲出した看板

 総務省が9月13日、「墓地行政に関する調査」の結果を発表し、公営墓地・納骨堂で無縁墓が発生している自治体は58・2%に上ることがわかった。この全国調査の結果を受け、相模原市は市内の公営墓地で無縁墓に該当する墓が20件あることを本紙の取材で初めて明らかにした。縁故者を探す手続きが煩雑な上、行政が運営するがゆえに対応を苦慮している実態が浮き彫りになった。

 総務省の調査は2022年2月から今年9月にかけて全国の市町村を対象に実施され、公営墓地・納骨堂がある765市町村のうち、445市町村が無縁墓が1区画以上あると答えた。

 調査結果によると、無縁墓の発生によって公営墓地の荒廃や不法投棄の温床になっているという。中には自治体で樹木の伐採や墓石の倒伏防止のための作業や費用を負担したケースもあった。

 ただ、過去5年間(2016年度〜20年度)に無縁墓の解消を図るため、改葬や撤去に着手した実績があると回答したのは47市町村(6・1%)にとどまった。調査では無縁墓を改葬した後の墓石の取り扱いが不明確なことにより市町村が処分すべきか、保管すべきか、また保管期間について対応に苦慮していることが指摘された。

相模原市は年々増加

 相模原市も公営墓地内に無縁墓を抱えている自治体の一つ。市内には柴胡が原霊園(中央区南橋本)と峰山霊園(南区磯部)の2つの市営霊園があり、それぞれ726区画、7548区画の墓地がある。

 無縁墓の状況について、市は本紙の取材で初めて明らかにした。市の担当者は「何をもって無縁墓と定義するのかは難しい」とした上で、墓が放置されて景観が悪化し、名義が承継されていない区画などを無縁墓の対象として調査をしているという。現在は20件あり年々増加傾向にある。

 市では2年前に無縁墓の調査に着手。昨年度は基準を設け、通知や催告をしても返答のなかった区画には看板を掲げ、申し出を呼びかけている。市の担当者は「法的手続きを経て戸籍を調べ、親族を探すのはあまりに時間がかかる。無縁墓の改葬を簡略化できる仕組みができたが、行政として手続きを省くわけにはいかない」と苦悩を明かした。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社