ボランティア7団体 役所通り落ち葉を堆肥に 市のSDGs方針に寄与

2023/10/19

市役所前通りウェルネス広場前(市道側)の落ち葉清掃を行うF・Cボランティアの会員(2022年11月)

 ゴミとして処分されてきた落ち葉を堆肥として活用へ–。こんな取り組みの実現に向け、相模原市役所前通り(通称さくら通り)をボランティアで清掃している7団体が市に働きかけ、協議を行っている。市は「前向きに検討していきたい」と話す。

 JR相模原駅の南口を出て徒歩15分のところに位置する「相模原市役所前通り」。西門交差点までの約1・6Kmに約300本のソメイヨシノが植えられているほか、ケヤキなども植えられ、市を代表する観光スポットとして市民に親しまれている。これらの木々から出た落ち葉やゴミなどは、周辺地域のボランティア団体によって日常的に清掃され、名所としての景観が保たれている。

 市中央土木事務所によると、ボランティア団体によって集められるゴミや落ち葉は10月と11月には月間100袋を超え、夏の5倍ほどの量になる。これらは市の焼却施設に運ばれ廃棄しているのが現状だ。

 そうした中、清掃を行うボランティア団体の一つ「F・Cボランティア」(伊藤紀子代表)は、落ち葉が畑の良い堆肥になることを聞きつけ、無償での地域の農家の人々への配布を数年前から行っている。

 F・Cボランティアから落ち葉の提供を受け、畑で堆肥として利用している中央区在住の島貫松江さんは「大変助かっている。ケヤキやサクラは肥料に適しており、昔はよく使っていたもの」と喜ぶ。

誰もが利用できるシステムの構築を

 こうした試みを市全体で行おうと、伊藤代表が他の団体に呼びかけ8月22日、「市道市役所前通における街美化アダプト活動に係る意見交換会」を開催した。

 出席したのは▽家庭倫理の会相模原▽東町桜会▽F・Cボランティア▽ナレッジ・リンク▽相模福祉村▽千代田2丁目桜通り美化ボランティアサークル▽クリーンラボ–の7団体。交換会では「落ち葉ステーションを設置し、誰でも持っていけるようにすれば」「市の行う”まちのコイン”を利用して普及につなげたい」「今後も年に2回ほどこうした意見交換会を行い、情報交換を行っていきたい」など、活発な議論があった。

 伊藤さんは「サクラやケヤキの落ち葉は再利用できるもの。税金をかけて焼却するより、理にかなっている。市が推奨するSDGsにもつながると思うので、我々の団体と堆肥を使う農家の双方が簡単に利用できるシステムを作りたい。落ち葉ステーションの設置などはとても良い案だと思う」と前向きに話す。

 中央土木事務所は「地域の方々の清掃ボランティアの活動にはとても助かっており、感謝している。提案をいただけるのは嬉しいこと。日程的なことは言える段階ではないが、前向きに検討していきたい」と話した。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社