低速電動車で買い物支援 新磯勝坂地区で実証運行

2023/11/23

運転者、助手、利用者が乗車する電動車=相模原市提供

 高低差があり、交通不便地域でもある新磯勝坂地区の移動手段を確保しようと、相模原市は現在、低速電動車「グリーンスローモビリティ」の実証運行を10月30日から開始した。買い物支援を目的にルートを設定し、5日間で延べ20人が利用。好評を博しているという。運行は12月21日まで。

 グリーンスローモビリティとは、時速20キロ未満で公道を走ることができる電気自動車を活用した移動サービスのこと。環境への負荷が少なく、狭い路地も走ることができ、公共交通機関を整備できなかった地域の足になることなどが期待されている。市内では若葉台地区(緑区)で今年1月、実証運行が行われている。

交通不便も需要少

 新磯地域は一部でバスや鉄道が運行されているが、バス停から300メートル以上、駅から1キロメートル以上離れた「交通不便地域」。高低差もあり住民からコミュニティバスの導入を求める声が上がっていた。

 市担当者は「新磯地域はコミュニティバス運行条件となる1便10人以上の乗客が見込めず、導入できなかった。移動手段が困難な方への対応が課題となっていた」と現状を説明する。

3・5キロ2時間弱

 今回、実証運行をしているのは新磯地域の勝坂地区。約1000戸ある住宅地となる。

 車両はゴルフカートと同等で運転手と買い物支援をする助手1人を含む7人乗り。運転手、助手はボランティアで担い、乗車賃は無料となる。

 目的地となるスーパーや自治会掲示板などに停留所を14カ所設け、約3・5キロメートルのルートを設定。1日2便、1時間の買い物時間を含め、2時間弱かけてルートを往復する。

 運転手を担う勝坂自治会連合会の鈴木真司会長は「徒歩10分の距離でも30分かかる方もいる。『やっとスタートしてくれて助かった』という声もあり、期待の高さに驚いた」と語る。

 運行開始から5日間で利用者は20人。既にリピート利用する人もいる。年代は60代から80代の女性が多く、「病院を追加してほしい」という要望も上がっている。

担い手確保課題か 

 現在、ボランティアの人数は運転者2人、買い物支援のための助手3人の計5人。鈴木会長は「地域に求められていることと実感するが、運行回数やルートの追加となるとボランティアがもっと必要になる」と語る。

 市担当者は「ボランティア無しでは成り立たない。地域でどこまで協力をし合えるかがカギ」と語る。今後、勝坂のほか、上磯部、下磯部、新戸で実証運行を実施。導入に向けたマニュアルを作成する予定だという。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社