全国でクマの出没情報が頻発する中、区内でも11月に3頭のクマがイノシシ用のわなに掛かった。目撃情報はそれ以上にあり、現場で対応する県猟友会津久井支部の小坂義和支部長は「クマがイノシシの領域にまで来ている。十分に気を付けてほしい」と注意を促す。
クマは、11月7日寸沢嵐、11日千木良、25日澤井で見つかった。どれもシカやイノシシを捕獲するためのわなにツキノワグマが掛かっていた。現場で対応した同支部の小坂支部長は「イノシシの領域にクマが出没しているということは、人家からとても近い距離で出ているということ」と危機感を口にする。
区政策課鳥獣対策班に寄せられた今年度のクマの通報件数は44件で前年度は32件だった。実際はイノシシの痕跡だったものなどを含むが、すでに昨年1年の件数を上回っている。幸いにも今のところ大きな人的被害はない。
「本来の半分ほど」
今年の夏は、全国で猛暑日が過去最多を更新するなど、暑さで作物が育たないなどの影響が出た。「山の中も実ができず食べるものがない。さらにナラ枯れによりドングリができない。山の餌がなくてクマが出てきているのでは」と分析する。実際にわなに掛かったクマを見た小坂支部長は「痩せ細っていて、本来の体重の半分ほどになっていた」と話す。なお、シカやイノシシの捕獲については「例年同様」という。
11日の千木良での捕獲後、同会では緊急でクマがわなに掛かった際のマニュアルを作り、会員に周知した。小坂支部長は、「クマは足跡が付きにくく、わなに掛からなければここまで来ているのが分からなかったと思う。人家のすぐそばにも出てきている状況で、『まさか』というところに出ている。こんなに近くで出ることはこれまでに無かった」と驚きを隠せない。
「鈴やラジオを」
クマ対策として、小坂支部長は音の出るものを身に着けてほしいと強調する。「これから初詣や初日の出などで山に入る人もいると思う。近くの山でも鈴やラジオを持って行くなど、音の出るものを持って対応してほしい。音がすればクマは逃げる傾向にある」と大前提として遭遇しないような準備が必要と言う。
しかし、もし遭遇した場合は「走って逃げてはいけない。動物の習性でこちらが逃げると動物は追いかけてくることが多い。視線を逸らさずに後ずさりして対応を」と話す。
なお、クマを目撃した際などの問い合わせは、区政策課鳥獣対策班(【電話】042・775・8852)、または津久井警察署(【電話】042・780・0110)へ。