相模原市議会 議場で初コンサート 「傍聴者増えるきっかけに」

2023/12/07

28日に出演した邦楽ユニット あさきゆめみし

 相模原市議会12月定例会議が11月28日に開会し、初日の28日と29日にプロ演奏家らによる「議場コンサート」が行われた。相模原市議会では初めての試み。市議会運営委員会では「市民に少しでも市議会に興味を持ってもらい、傍聴者が増える一つのきっかけになれば」と期待する。

傍聴者が減少傾向 

 全国的に地方自治体の議会傍聴者は少なく、相模原市も例外ではない。相模原市議会の1日の平均傍聴者数は2018年度が17・9人、19年度が27人と20人〜30人で推移していた。ここ数年はコロナ禍で20年度が6・9人、21年度が6・6人、22年度が9・8人と10人未満にまで落ち込んだ。今年度は17・9人と増えたが、決して多いとはいえないのが現状だ。

 解決策の一つとして、市では議会のライブ中継を行っている。22年度は本会議と各委員会を合わせて4万9759回視聴されている。しかし、21年に実施された「議会改革検討会」において、2会派から「他の自治体でも開催している議場コンサートを開催して傍聴者の増加につなげてみては」との提案があった。

 これを受け、議会運営委員会で協議を重ね、今年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで傍聴者数の制限を解除したことから、今回コンサートを実施することを決定した。議場でコンサートをするのは、1969年に現在の議場となって初めて。

八王子は毎回

 議場コンサートは近年、八王子市や調布市、東京23区内の複数の地方自治体で実施されている。中でも八王子市は1998年から25年間、毎回定例会議の初日に議場コンサートを実施している。「傍聴は多くても30〜40人程度、コンサートを聞いて帰ってしまう方が多く、コンサートの実施により傍聴者が増えているとは言い難いと聞いている」と市議会運営委員会は話す。

これまでの2倍に

 11月28日には市内在住の東京芸大邦楽科の同期生であるプロ演奏者3人による邦楽ユニット「あさきゆめみし」が美しい音色を響かせた。

 また11月29日には音風景をキーワードに市内を中心に文化活動を行う「ビッグママ・プロジェクト」から生まれた音楽隊「Luann(ルアン)」が演奏を披露。議場に響き渡る演奏に合わせて手拍子が始まるなど会場は熱気につつまれ、最後にはアンコールの声がかかるなど盛り上がっていた。

 両日とも通常の2倍前後の傍聴者があり、一定の効果をみせた。

 古内明議長は「歴史と伝統を引き継ぐとともに、開かれた議会を目指して新しい改革を進めていきたい。多くの市民に議場へ足を運んでいただき、市議会を身近に感じ、関心を持っていただけたら」とコメント。

 議会運営委員会委員長の渡部俊明議員は「議会傍聴に来ていただくきっかけとなることを願い、議会改革の一環として企画した。今回の素晴らしい演奏のように、市民の心に響く議会運営に努めていきたい」と話した。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社