ふるさと納税 寄付額が最多ペース 返礼品のPRが功を奏す

2023/12/21

市が新しく公開したウェブサイト「さがみはらむすび」内のふるさと納税のPRページ

 ふるさと納税の制度によって市税の流出が進む中、相模原市は返礼品の充実とPR強化を図り、返礼品ありのふるさと納税受入額が2023年度、過去最多の約8億6000万円に上る見込みであることがわかった。自治体間の返礼品競争が加熱する中、流出を食い止めることができるのか。

20億円の流出超過

 ふるさと納税は、選んだ自治体に寄付することで住民税の控除などが受けられる制度。近年では返礼品目的の寄付が増え、特に都市部の自治体では住民税の流出が課題となっている。

 22年度の相模原市の住民税控除額は約29億円で、寄付額の約9億円(返礼品つきの寄付額は約3億8000万円)を差し引いた「流出額」は約20億円だった。

250→406品目に

 相模原市では22年度、ふるさと納税を活用して全国に市の魅力を発信するため、財政課から観光・シティプロモーション課に事務を移管した。返礼品の充実やPR強化に着手し、返礼品はそれまでの250品目から156品目増の406品目となり、手続きで使えるサイトも2つから5つになった。

 こうした取り組みの結果、返礼品つきの寄付額が大きく増加。10月に返礼品の基準が厳格化されたことによる「駆け込み寄付」の影響もあり、23年度は過去最大の約8億6000万円を見込んでいる。

シャンプーが人気

 最も人気がある返礼品はユニリーバ・ジャパン製のシャンプー類で9月末時点で3105件。製造拠点を市内に構える東プレ株式会社のキーボードも人気を集めているほか、新たに追加した小川和男養鶏場の「たまごの定期便」は、卵の市場価格高騰の影響もあってか好評だという。

 市は寄付額の増加に伴い、12月の補正予算案でふるさと納税の運営経費として追加で約1億5306万円を追加計上している。

 同課の担当者は「返礼品の充実は市の魅力をPRするのに重要と考える。引き続き積極的に取り組んでいきたい」と話す。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社