特定外来生物 周知進まず市全域に拡大 市民調査で実態明らかに

2024/01/18

オオキンケイギク

 特定外来生物のオオキンケイギクはいまや市内全域に分布か――。こんな実態が相模原市自然環境観察員の調査で初めて明らかになった。12月10日に調査結果を発表し、「市民に周知されておらず、人為的に拡大しているケースもある」と警笛を鳴らしている。

 オオキンケイギクは鮮やかな黄色い花を咲かせるキク科の多年草。北米が産地で日本では1880年代から園芸用として販売、植栽されてきた。キバナコスモスに似ているが、花びらの先端がギザギザしていて葉はヘラのような形をしているのが特徴。コスモスは秋に花を咲かせるが、オオキンケイギクは5月〜7月に咲かせる。

 繁殖力が強く、一度定着すると在来の野草の生育場所を奪い、周囲の環境を一変させてしまうため、2006年に国の外来生物法に基づく特定外来生物に指定された。生きたままの運搬や栽培、譲渡などが原則として禁止されている。相模原市でも広報などを通じて市民に駆除を呼びかけてきた経緯がある。

 今回、調査にあたった「相模原市自然環境観察員」は市が制度として位置付けているボランティア。相模原市立環境情報センター「エコパークさがみはら」が事務局として運営を担っており、市内全域を対象とした調査や学習会を開いている。メンバーは現在98人。

 2023年度のテーマに掲げた「オオキンケイギクの分布調査」は4月16日から7月31日にかけて実施。市域を約1キロメートル四方のメッシュに区切り、徒歩や自転車を中心に道端や公園などを見て回った。山間地などで調査が困難なエリアを除いた188メッシュのうち、65人から159メッシュ分の結果を得ることができた。

 検討会での発表によると、オオキンケイギクは8割超の129メッシュ(518地点)で確認されたという。2020年度に実施したアメリカオニアザミ(生態系被害防止外来種)と比較しても市域全体に分布していることがわかった。道端で見つかるケースが最も多かったが、花壇や庭などの個人の敷地、畑でも数多く発見されたという。

育てている場所も

 調査にあたったメンバーの亀崎誠さんと安藤岳美さん、佐藤栄吉さんは「市民に特定外来生物であることが周知されていないのが問題。育てている場所もあった。庭にありそこから広がる」と指摘する。

 エコパークさがみはらの副センター長で事務局を担当する勝田信明さんは「広く多くの人に参加してもらえる市民科学の手法は、広いエリアに対して多くの目で発見できるメリットがあり、今回の調査結果は傾向を知る上で大きな意義がある」と話している。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社