相模女子大学 防火衣デザインで一役 11月の文化祭でお披露目

2022/09/08

自身のデザイン画を持つ(左から)鮫島さん、小松さん、小林さん

 相模原市と包括連携協定を結ぶ相模女子大学で、市消防局と市防災協会との連携事業として、防火衣のデザイン制作が進んでいる。学生たちはデザインに先立ち、消防士の仕事を様々な角度から学び、消防士の仕事に敬意を表した作品に仕上げようと奮闘している。

 事業は専門性の高い内容のため、同大の学芸学部生活デザイン学科が請け負った。依頼のあった防火衣はイベントなどで着用できる子ども用や女性向けのもの。消防局からはコロナ禍で消防の啓発イベントが減っていることや「消防=男性」のイメージが強いなどの課題、機能性よりもイメージ重視で構わないことなどの要望が伝えられた。

 同科の角田千枝教授は1〜3年生の6人でチームを組み、デザインの前に「消防の仕事」について学生たちに考えさせた。

「ただ『可愛い』だけのデザインではダメ。意味があるものにしなければ」。学生らは実際に消防職員に話を聞いたり、1日密着したりした。「体育会系のイメージが強い一方で、現場の保存や調査研究などのため気を遣うことも多い。また命の危険や死と隣り合わせの仕事のため、人の痛みが解る心豊かな人が多く、本当に尊敬できる仕事」(角田教授)であることを体感。実際のデザインの前には防火衣を借り、イメージを膨らませた。

 6月のデザイン発表の際には消防職員も講評。子ども用、女性用、男女兼用の3種類で計8着が制作されることになった。

 鮫島美咲さん(3年・川崎市)は炎をイメージさせる赤いマントのような上衣に「つながる命」をイメージした紐のようなデザインを全身にあしらい、人の命を守り続ける仕事であることを表現した。小松未奈さん(2年・町田市)は制服のようなクラシカルでフォーマルな防火衣をイメージ。相模原市の鳥である「ヒバリ」の色で、シックでスタイリッシュなデザインに仕上げた。小林歩さん(3年・緑区)は子ども用の防火衣をデザイン。露出が少なく暑そうな防火衣のイメージを水色を基調に水しぶきや波の模様をデザインし、見た目だけでも涼し気なものに配慮。精神的なストレスも軽減できればと考えた。

 3人のデザインを含む8着は裁断したパターンを粗く縫って全体を確認するトワルチェックを済ませ、現在は消防被服をはじめ防災用品を専門に取り扱う株式会社関東小池(南区西大沼)に預けられ、10月の完成を待つ状態。

 出来上がった防火衣は11月3・4日に開催予定の同大の文化祭でお披露目の他、11月9日からの防災週間に開催されるイベントで紹介される。