相模原市は6日、2024年度当初予算案を発表した。一般会計の予算規模は前年度と比較して3・9%増の3415億円で過去最大。特に重点的に力を入れる分野として「少子化対策」「雇用促進対策」「中山間地域対策」の3項目を柱に掲げた。
歳入をみると、市税収入全体では前年比0・1%減の1342億円だった。堅調な企業収益の後押しで法人市民税は17・0%増となったものの、定額減税などによって個人市民税は4・1%減少した。
歳出をみると、人件費、扶助費、公債費の義務的経費は全体として4・8%増加して2132億円。「人件費」は市職員の月例給や期末・勤勉手当の引き上げ、退職手当の増加などによって6・8%増加した。「扶助費」も障害児者介護給付費等や児童手当・特例給付などが増加し、5・1%増加。一方で「公債費」は市債残高の減少に伴い償還元金が減少したため2・2%減少した。
重点的な施策
重点的な取組のひとつ「少子化対策」について、1億7242万円を計上した小児医療費助成事業では、8月から助成対象を高校生までに拡大し、中学生までは所得制限を撤廃する。3223万円を計上した「さがみはら休日一時保育事業」では休日に未就学児を受け入れる保育所を相模大野駅周辺に整備する。
「雇用促進対策」では、学生に市内企業の求人情報を発信するほか、学生と企業、地域をつなぐ「学生・新卒未就職者等就職支援事業」に2291万円を計上。そのほか、イノベーション創出促進事業と障害者就労支援事業に取り組む。
「中山間地域対策」では、津久井地域に道の駅を設置するための調査研究に800万円を計上。移動支援事業に6419万円を計上し、中山間地域特有の地理条件を踏まえ、乗り合いタクシーの利便性向上に向けた実証実験を行う。
個性を生かす予算
相模原市の個性を生かす分野として「子育て」「教育」「まちづくり」を優先して予算を配分。
「子育て分野」には10億7122万円を計上。「産後ケア事業」では、母子に対して授乳や沐浴などに関する相談費用の負担軽減策を実施する。保育所などに通っていない子どもが認可保育所を月10時間程度利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設するために試行的事業を行う。
「教育分野」には7億434万円を計上。宇宙教育普及事業では宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所などと連携を強化し、宇宙教育の充実を図る。
「まちづくり分野」は、リニア中央新幹線に関連し、橋本・相模原両駅周辺地区の都市基盤整備、土地利用の検討を行うほか、地域主体の移動手段としてグリーンスローモビリティの実証実験を行う。