災害時トイレ「独自指針」 「ある」県内5自治体 本紙が33市町村に調査相模原市は国基準で備蓄

2024/04/11

下水道管路のマンホールの上に簡易な便座やパネルを設けて使用するマンホールトイレ。写真は昨年9月1日に相模総合補給廠一部返還地で行われた訓練でトイレを組み立てる岸田首相(右)

 能登半島地震で広範囲にわたる断水によって避難所などでトイレが使用できなくなり、大きな課題が浮き彫りとなった。タウンニュース社で県下33市町村を対象に災害時トイレの備えについて尋ねるアンケート調査を実施したところ、独自ガイドラインを設けているのは5自治体にとどまり、自治体によってトイレの種類や備蓄状況、その根拠などが異なることがわかった。相模原市では備蓄が進む一方で、高齢化によって設置にかかる負担が課題となっている。

 アンケートは2月26日から3月6日にかけて実施し、災害トイレの備蓄や種別、避難者想定、独自ガイドラインの有無などについて尋ねた。

 災害時トイレの整備に関するガイドラインについて、「ある」と答えたのは横浜、小田原、松田、開成、箱根の2市3町で、相模原市は「ない」と回答した。

 2016年に内閣府が策定した「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」によると、排泄回数は1人1日5回と仮定し、トイレの個数目安は災害発生当初が避難者約50人当たり1基、その後避難が長期化する場合には約20人当たり1基とし、携帯・簡易トイレは避難者想定の3日分とされる。

 国や県からのプッシュ型支援が想定されるが、被害が大きい場合など、交通事情で遅れることも見込み、自助・共助による備蓄の必要性を呼びかけている。

高齢化による課題も

 相模原市では独自のガイドラインを設けていないが、内閣府のガイドラインに沿って災害用トイレを備蓄している。市危機管理課によると、2014年に市が公表した「防災アセスメント調査」の結果に基づいて想定避難者を算出し、現在備蓄されているのは仮設トイレ組み立て式が1056基、マンホールトイレが530基という。

 ただ、能登半島地震では人口減少と高齢化が災害対応の難しさを浮き彫りにした。同課では「本市では仮設トイレ組立式を備蓄しているが、避難所運営者(地域市民も含む)が高齢化してきており、備蓄倉庫から移動させることに多大な労力がかかることや組み立て時に時間を要してしまうことなどの課題がある」という。

毎年6200個追加

 相模原市では、能登半島地震による被災状況を考慮し、2024年度の予算にトイレ対策費を盛り込んだ。6200個の携帯トイレを備蓄する計画で、今後10年間で、毎年6200個を購入し、備蓄を進めるとしている。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社