藤野北小学校(沼澤俊宏校長)の校庭脇の擁壁の復旧工事が完了し、児童が8月26日から本校舎に戻り授業を再開した。現在の6年生は1年生の時に被災して以来、5年ぶりの帰校。6年生は「久しぶりに戻って来れて良かった」と喜びを語る。
台風で被災
同校は、令和元年東日本台風(台風19号)で被災。隣接する山で土砂崩れが起き、校庭が土砂で埋まった。校舎への被害も懸念されたことからすぐに利用を中止し、直後からふじの体験の森やませみ、翌年から佐野川公民館の敷地内に建てられたプレハブ校舎で学校生活を送ってきた。
「全部が懐かしい」
26日には早速、特別活動室(特活室)で始業式が行われた。これまでの仮設校舎とは違い、スペースの広い特活室での式に、児童は緊張した様子で、距離感の違いに戸惑う場面も見られたという。
5年ぶりに本校舎に戻ってきて小俣樹咲さんは、「この校舎に来ていたのは1年の時なので少ししか覚えていないけど、前よりも校舎がきれいになっていた」、大河原泰知さんは「1年生の時にこの校舎で入学式をして、6年生で卒業式ができるので良かった」などと笑顔を見せる。
杉本れいさんは、「これまで仮設校舎はジャンプしただけで響いていたけど、本校舎に戻ってきたらジャンプしても響かない。雨漏りもしないし安心」と話すと、小俣美結さんは、「外からの風景など全部が懐かしい。本を読むのが好きなので、図書室がお気に入り」と声を弾ませる。さらに、「これから運動会があるので、校庭で運動会ができるのが楽しみ」と4人は声を揃える。
児童が授業を再開した前日の25日には、これまで同校の教育活動を支援してきた地域住民や関係者らを招き、本校舎再開式が開催された。当日は仮設校舎で卒業を迎え、現在は中高生となった卒業生も訪れ、「懐かしい」「校舎がきれいになった」などと話していたという。
本校舎での学校生活が再開し、沼澤校長は、「これまでにやませみ、仮設校舎とたくさんの人の支援をいただいて、児童は学ぶことができていた。子どもたちと共に皆さんへの感謝の気持ちを持ってこれからも学んでいきたい。そして、被災体験を通して防災意識も高めていきたいと思う。新しい校舎で一人一人の思いを大切にしながら、子どもたちが生き生き、そして伸び伸び学んでいくことをしっかりと支えていきたい」と話した。
安全対策に時間要す
市学校施設課によると、同校の復旧工事は昨年2月に始まり、同年8月には終了する予定だったが、擁壁の上部に亀裂が生じていたことから、安全対策を施すなどして今年7月まで期間を延長していた。
完成した擁壁は高さが約5m、横が約39m。さらに、校舎については5年間使用していなかったこともあり、再開に合わせて床の研磨・塗装、壁の塗り替え、昇降口の劣化したタイルの修繕、照明のLED化なども行った。
また、一部の遊具のみ、これから設置予定で、詳細については現在調整中という。