リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)が設置される橋本駅南口の工事現場内で11月9、10日に「さがみはらリニアフェスタ」が開催され、イベント内で黒岩祐治知事が、「この場所をエンターテインメントの拠点にしていきたい」と文化拠点としての活用に意欲を示した。
同イベントは神奈川県とJR東海の共催。多くの人に中央新幹線事業や工事への理解をより深めてもらおうと、実際の工事現場を開放し行われた。会場は地下と地上にステージがそれぞれ設けられ吹奏楽などの演奏が行われたほか、行政や相模原橋本ロータリークラブによる展示ブースなども設けられた。
初日の9日は地下工事現場の特設ステージで開会セレモニー、黒岩知事とかながわ観光親善大使でアーティストの河村隆一さんのトークセッションなどが行われた。
集まった300人の観客が大きな拍手で二人を迎えると、黒岩知事が「ビッグアーティストに歌ってほしいと思い、河村さんに連絡をしたら即OKしてくれた」と経緯を説明。河村さんは笑顔で応え、実際にこの場所に来た感想を「下りて来るまでに時間が掛かった。本当に全然違う世界に来た感じ。とても声が響く空間で貴重な体験になる」などと話した。スペシャルライブではヒット曲の「Glass」などを熱唱し、地下空間に歌声を響かせた。
「今日は第一歩」
開業は2034年以降と言われているリニア中央新幹線。現在も着々と工事は進むが、当初の2027年の開業が延期となったことで黒岩知事は、「10年もこの巨大な空間をそのままにしておくのはもったいない。そこでエンターテインメントの拠点にできないかと考えた」と振り返り、今回のイベント開催については、「JR東海の大変な協力があり、今日はその第一歩を踏み出すことができた」と感謝した。
さらに、「工事は進んでいくので、その時々に合わせて仮設のステージを作り、そこを拠点にしていきたい。そしてリニア新幹線は通っていないけれども、行きたくなる駅にしたい」と展望を明かした。
JR東海の水野孝則代表取締役副社長は「まずは工事が第一。しっかりとした工事を成し遂げるのが我々の使命」と強調した上で、「安全、環境、地域への連携を大事にし、県や市との文化的交流に少しでも寄与することがあれば協力できることはしていきたい」と述べた。
また、市民への開放について黒岩知事は「安全安心を守りながら、できるだけ市民を巻き込んでいけたら。相模原市、JR東海と一緒に工夫していきたい」と話した。