市内公立学校空調設置率 全国、県平均下回る 131棟のうち設置済は12棟

2025/07/03

 文科省が6月23日、公立小中学校の体育館等の空調(冷房)設備設置状況(2025年5月1日時点)を発表し、相模原市の設置率は9・2%で全国平均の22・7%を下回ることが明らかになった。体育館は児童生徒の活動の場であるとともに災害時に避難所として利用される場合もあるため、相模原市は全校設置に向けて整備手法を検討・調整している。

 調査は全国の公立小中学校(義務教育学校を含む)および特別支援学校の体育館と武道場を対象に行われた。

 調査によると、相模原市内の公立小中学校の体育館および武道場131棟のうち、空調設備が設置されている学校は12棟。設置率は9・2%で、全国平均(22・7%)よりも13・5ポイント低く、神奈川県全体の14・6%と比べても5・4ポイント低い結果になった。

埋まらない地域差

 体育館は空調設備がないと夏は暑く冬は凍えるように寒くなる。国は自治体への特例交付金を新設するなど防災的観点も踏まえて整備を推進しているが、財政負担が大きいため地域間の格差が課題となっている。都道府県別でみると、独自の補助を進めてきた東京都の設置率は92・5%にのぼる一方、ほとんどの自治体は30%以下。中には1%以下の自治体もある。県内の政令市をみると、横浜市は17・8%、川崎市は5・3%だった。

 相模原市は防災的観点を踏まえ、全校設置に先駆けて市内22のまちづくり区域に各1カ所ずつ設置を進めている。昨年度までに12校の設置が完了し、今年度中に残り10校の設置が完了する予定。市学校施設課の担当者によると現在、残る約80校への設置に向け、24年度に実施した調査を踏まえて整備手法を検討しているという。同課の担当者は「子どもたちの活動の場を整えるため、なるべく早く整備をしていきたい。現状の手法だと設置にかなりの年数を要するため、財政面も含めた手法の検討を行っている」と話している。

設備の更新も課題

 近年の猛暑で屋外での活動が制限される中、屋内の学習環境整備は急務となっている。相模原市は14〜16年度に「小中学校空調設備設置事業」を実施し市内全校の普通教室にエアコンを設置したが、設置から10年以上が経過した一部のエアコンは冷房能力の低下や不具合が生じており、修繕を進めていく必要がある。また、音楽室や家庭科室といった特別教室については未設置の学校も多い。同課の担当者は「中学校は教科担任制で、先生によってはずっとエアコンのない教室で過ごす場合もある。体育館も特別教室も普通教室も、喫緊の課題としてなるべく早く設置を進めていけるよう、最適な整備手法を検討・調整していく」としている。

ニュース提供元:株式会社タウンニュース社