まちゼミって知ってる?
まちゼミとは、〝得する街のゼミナール〟の略称のこと。
愛知県岡崎市で2003年に初めて実施された企画で、商店街の店主さんたちが講師となり、プロならではの専門的な知識や技術、コツなどを無料で受講者(=お客様)に教える、いわば「少人数制のゼミ」のことなんです。お店の特徴を知っていただくと共に、スタッフとお客様のコミュニケーションにより、信頼関係を築くことを目的として考案された事業です。
相模原市でも、JR・京王線橋本駅周辺地域に所在する橋本商店街が定期的にまちゼミを開催。毎回すぐに定員が埋まってしまう人気ゼミや、新しくオープンしたお店の「はじめましてゼミ」など、リピーターやファンの多い好評企画なんです。
実際に取材してみた!
まずこちらは老舗自転車屋の「Nakajima Cycle(ナカジマサイクル)」さん。
3代目で自転車歴30年の三浦茂雄店長が出迎えてくれました!
本日のまちゼミ「初めてのロードバイク話」に参加したのはお二方。
いずれも最近ロードバイク熱が高まっているものの、どんな風に始めていいかわからないご様子。
前半の「講義編」では、三浦店長から
- 普通の自転車のペダルとロードバイクのビンディングペダル(足を固定できるペダル)の違い
- ロードバイクのフレームは軽ければ軽い方がいいの?
- 相模原市内や近隣スポットで初心者が走りやすい道
などの「知っておくとかなり役立つ話」をたくさん聞くことができました。
そして、忘れちゃいけないのはここが自転車屋さんであるということ。実際にフレームの重さを持って比べたり、ビンディングシューズ(金具付きのシューズ)を試し履きしたり、「話を聞くだけでなく体験できる」のがまちゼミのいいところ。後半の「実践編」でも、参加者さんが実際に試乗用ロードバイクにまたがり、今の自分にベストなサドルの高さを調整。三浦店長がしっかりチェックしてくれるのが嬉しいですね!
終了後、「ロードバイクについての疑問点がいろいろ聞けたのが良かった。特にビンディングシューズはあんなに履き方にコツがいるとは知らなかった」「まちゼミに参加してますますロードバイク熱が高まった。実際に試し乗りできたのがよかった」と参加者さんたちも満足した様子。困ったときは頼れる三浦店長のもと、これからのロードバイクライフが楽しみですね!
次はプロの料理人が教える「包丁研ぎ」!
次にやってきたのは、キャンセル待ちも多いという「HKラウンジ」の包丁研ぎ講座!
普段はイベントやパーティー用に貸しスペース業を行っている同店ですが、飲食店としてもオススメで、貸切の予約がない日は八木慶太料理長による上質な和食料理を中心に楽しむことができるとあって、固定ファンも多いのだとか。
HKラウンジさんでは、八木料理長自ら参加者持参の包丁や砥石を見ながら研ぎ方を教えてくれます。
今回の研ぎ方講座は「初参加の方優先」。「この講座がきっかけで初めてHKラウンジのことを知った」「気になってはいたけど店に入るのは初めて」など、講座を通した新しい出会いが待っているのもまちゼミの特徴なんです。
研ぎ方講座では、
- 砥石に水をつけるタイミング
- 包丁を研ぐときの適切な角度とは?
- 包丁を「引くとき」・「押すとき」、どちらに力を入れる?
- 研いだ裏側に引っかかる部分が出たら研げている証拠!
などなど、プロならではの目線でじっくり丁寧にレクチャー。皆さん、真剣です!
最後は恒例の「トマト切り」!研ぐ前とレクチャーを受けて研いだ後では全然違う切れ味に、参加者さんたちはびっくり!
まちゼミが終わる頃には、すっかり打ち解けてきた参加者さんたち。
まちゼミは「少人数制」なので、講師の人に気軽に質問したり、参加者同士で話ができるところもいいですね。
「店がビルの6階・7階にあるので、なかなか知られにくいこともありますが、まちゼミをきっかけにご利用につながったこともあるんですよ」と八木料理長。もともとHKラウンジさんは別の料理講座を開いていたけれど、お客様からの「包丁の手入れ方法を教えてほしい」という要望からこの講座がスタートしたといいます。これぞお客様のニーズを直に聞くことができるからこその醍醐味ですね!
まちゼミって、楽しい!
2つの取材を通して感じたのは、「やはりその道のプロの話は奥深い」ということ!
- プロの知識が(原則)無料でゲットできる!普段悩んでいたことを専門家に直接聞けるチャンス
- 気になっていた店を知るいいきっかけに。信頼できる店主と出会えたり、参加者同士で楽しく交流できる
などなど、まちゼミに参加するメリットはいっぱい。
開催するお店側としても、
- 新しいお客様と出会えるチャンス
- お客様とのコミュニケーションを通して、新しいニーズをつかむことができる
- 商品・サービスについて詳しく知ってもらうことで、お客様に購買意欲を持ってもらえる
などのビジネスチャンスが一層広がります。
何より、普段は忙しい店主さんたちも、まちゼミのときは「講師の先生」として、じっくり参加者さんと対話することができます。お客様が自分の店に対してどんな印象をもっているか、どんな商品を待ち望んでいるか、直にヒヤリングできる絶好の機会なんです。
まとめ
相模原市内でまちゼミを開催しているのは「橋本商店街」だけですが、京王線・井の頭線沿線では7つの商店街がまちゼミを実施しているんです。
こちらは2021年10月に京王線・井の頭線全駅に貼り出された「まちゼミ」のPRポスター。
京王電鉄さんはPRに協力してくれているだけでなく、今回の「橋本まちゼミ」ではなんと「現役運転士が教える『運転士のお仕事』」という講座(小学生対象)を初めて開講したんです!
京王線・井の頭線沿線だけではありません。全国では北海道から沖縄まで、「全国まちゼミネットワーク」(https://machizemi.org/)でつながる約400商店街が積極的にまちゼミを開催。2021年9~11月には、『全国一斉まちゼミ』と銘打ち多くの商店街が同時期にまちゼミを実施し、盛り上がりを見せました。同ネットワークでは、新しくまちゼミを検討している商店街向けに、運営方法のノウハウの提供や視察受け入れを行うなど、「まちゼミの輪」はさらに大きく広がってきています!